日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.12
女性アーティストをプロデュース。を自分で解説しちゃうシリーズ第二弾は、テクニカルな演奏技術でド派手なパフォーマンスを繰り広げるガチャリック・スピン、通称ガチャピン!
元々、自分がツアーで各地ライブハウスを回った時に、必ずガチャピンのポスターが貼られていて(当時は4人組でしたが)、Vo.がバニーガール、演奏陣は着物、なデザインのポスターで「何だこいつらはっ!?」と興味半分で見ていたのですが……あまりにもどこのライブハウスに行っても貼ってあるので「おそらく全国をシラミつぶしにコツコツ回ってるんだな……なんて健気なんだ!」という親心のような気持ちに変化し、結果色んな人に「ガチャピン知ってる?」って吹聴して回ってる自分がいました。
その声が本人達にも届き、今回プロデュースのオファーをいただいた結果生まれたのが「Don’t Let Me Down」。おかげさまでアニメ『ドラゴンボール改』のエンディング曲にもしていただき、多くの方からご好評いただいております、ありがとうございます。
まず彼女達をプロデュースする際に心がけたことは……元気付けよう、ガチャピンを!でした。無名時代から全国ライブハウスをコツコツ回る下積み感を、普通多くの女性アーティストは隠したがりますが、彼女達は逆に開き直ってネタにするぐらいだし、各演奏陣は以前からギャルバン経験を積んで酸いも甘いも噛み分けたキャリアの持ち主なのに、偉そうにする気配すらないどころか、新人アイドルだらけのイベントにも積極的に参加し、誠心誠意ガチャピンを知って貰おうという気持ちが滲み出ています……これは相当の頑張り屋さん達!
普段はコツコツ練習や努力しているところを見せない彼女達に「Don’t let me down=がっかりさせるなよ」は随分とプレッシャーあるタイトルのように聞こえますが、曲を聴いていただければ分かる通り「Love don’t let me down=愛にがっかりさせられることはない」と、彼女達の音楽への愛情の深さを讃えた内容になっております。ビートルズの名曲「Don’t Let Me Down」とあえて同名にすることで、クラシック感を狙ってみました。
かつて自分がやっていたビート・クルセイダーズでもアニメの主題歌を何度かやらせていただきましたが「アニメにパンキッシュな2ビート」というのを実現出来ずに解散してしまったので、ここは一発ガチャピンにその夢を託そう! と思いっ切りの良い2ビートを。そこにグイグイなベースと歯切れの良いギター・サウンドが乗っかり、自分で聴いてても気持ちの良いPOP PUNKな楽曲になったと思います……ビートルズのファンには怒られそうですが、ROCKやPUNKは怒られてなんぼ!の物なので、常識人達のしかめっ面を軽快に笑い飛ばすような疾走感が溢れる曲です。
今作でメインVo.を務めるKey.のオレオレオナ嬢の伸びやかな美声もポイントの一つで、LIVEでは歌いつつ弾きつつを華麗に実現してくれておりますので、キラキラした鍵盤の音色と共に楽しんで下さいませ。俺も一度、名古屋でスターベムズとして対バンした時に飛び入りで一緒に演奏させて貰いましたが、演奏してても楽しいこの曲、いつの間にかガチャピンを応援してるんじゃなくて「自分が応援されている」ような不思議な逆転現象に見舞われまして、これはきっと多くのリスナーの背中も押してくれる曲に育つ!と確信した次第。是非アナタのその目と耳で確認して、元気のお裾分けをいただいて下さいな!
Gacharic Spin
「Don’t Let Me Down」